白身魚の刺身、冷奴、お浸し。
これらにかける調味料と言えば醤油が一般的ですが、 煎り酒という調味料もこれらに抜群に合うんです。
日本酒、鰹節、梅干しを煮だして造られたもので、 さっぱりとした中にも旨みがあるといった特徴があります。
実はこの煎り酒、室町時代から江戸時代まで、この日本で一般的に使われていた調味料なんです。
現代において、なぜ一般的でなくなったのかには諸説あるようですが、 保存性に優れた醤油が広く普及されるようになったことで、 徐々に使う人が少なくなっていったとされています。
そりゃあ冷蔵庫も冷凍庫もない時代です。
保存性を重視するのは、当然といえば当然の流れだったのかもしれません。
ただ、令和の時代になって煎り酒が再び注目を集めはじめているのも事実。
テレビ番組でも商品として売られているものが紹介されるなど、じわじわと広まりつつあります。
時代を飛び越えて食卓にカムバックしてきたのは、 料理の味をバツグンに引き立てるその味や、 少ない塩分でもしっかり味わいを楽しめるヘルシーさなどが、あらためて見直されてきたからに他なりません。
基本の材料は先ほどのとおり、日本酒、鰹節、梅干。
作り方は、日本酒200ml、梅干し1個、鰹節半パックを鍋に入れ、 弱火で沸騰させ後、3分煮ます。
火を止めて粗熱がとれたら、ラップをかけて冷蔵庫にいれて半日。
その後、ボール状のザルにペーパータオルをしいて、 カツオブシや梅干しをこせば完成です。
ただこれはほんの一例。
家ごとに違うカレーと同じように、厳密なレシピはないようで、 昆布を入れてさらに旨味を足したりもOK。
お酒も、味のしっかりした純米酒がおすすめですが、
料理酒でも十分に美味しく仕上がります。梅酒をちょい足しするなど、アレンジも可能。
その家庭ならではの味が造れるので、 ひと手間かけるだけの価値はあります。
しかもお刺身など以外にも、 オリーブオイルと混ぜてドレッシングとしてサラダに使ったり、
揚げびたしに使ったりと、幅広く応用が利くので、 とっても便利です。
室町時代発祥の煎り酒。
勇猛な武将や美しい姫も楽しんだであろうこの調味料で、タイムスリップ気分を楽しんではいかがでしょうか?


